足関節外側靭帯の解剖

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

さてさて、解剖学的なお話に少しずつ戻していきます

 

今回は【足関節外側靭帯】についての知見です

 

今までの解剖学的研究では前距腓靭帯(以下:ATFL)と

 

踵腓靭帯(以下:CFL)は個別であると言われることが多かったようです。

 

確かに解剖学の教科書などには個別で

 

このように書かれていましたよね

 

しかし、その一方でATFLの一部の線維とCFLは連続した線維であるとの

 

報告もあります。

 

まずはATFLについて少し・・・・

 

ATFL

上下の2つの線維に分けられる

 

上方線維:(superior band , upper band)

下方線維:(inferior band , lower band)

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そしてCFL・・・

 

CFL

踵骨側~腓骨前方(前縁)に位置する

 

踵骨側の付着は腓骨筋結節より後方に付き

 

様々なバリエーションがあるとされています

(今回、ここはカットで!!)

 

 

 

 

そう!今回はお伝えしたいのは

 

ATFL下方線維とCFLの腓骨前方(前縁)部が合流していること

 

この周囲の解剖についてです

 

解剖の写真などを載せると何かと問題になるかと思いますので

 

イメージ図で失礼します!

 

解剖学的な走行と位置をイメージして頂ければ幸いです!笑

 

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このようにCFLは腓骨の前方(前縁)まで回り込んでいるのです

 

CFLの伸張方向は様々ことが言われていきていましたが

(背屈が一番伸張するとか、背屈内反が一番伸張するとか、回外が伸張するとか)

 

この腓骨側の付着部がわかれば何となく伸張する方向が

 

分かってくるのではないかと思います。

(腓骨側の付着についてはっきりと言われているものはなかったみたいです)

 

 

底屈すると・・・

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底屈すると腓骨側は折れ曲がるような走行になります

 

 

背屈すると・・・

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逆に背屈にすると折れ曲がりはなくなり伸張されます

 

 

結果

 

背屈が伸張され、それに踵骨の外反を加えるとより伸張されますね

 

あとは、この付着から考えると

 

肢位(底背屈)によって変化するのは腓骨側のみ

 

ということがわかります

 

少しこの辺りは、細かすぎてつたわらなかったかもしれませんが

 

解剖学的なイメージを少しでも持っていただけたら幸いです

 

以上、今回はここまで!!

 

Tendinopathy③

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

Tendinopathyで名前だけ出てきた【PRP】について

 

少し紹介していきますね

 

腱障害について調べていると、必ずと言っていいほど

 

出てくる言葉です。

 

腱障害の最近のトピックですので、こんなのもあるんだ

 

って感じで読んでみてください!

 

PRP(Platelet-Rich Plasma):多血小板血漿

 

ようは、血小板が大量に含まれている血漿を使用するということです。

 

血液を遠心分離し、血小板を濃縮しそれをまた患部に投与することで

 

組織の修復を促進したり、炎症を押さえたりするのがPRP療法です

 

再生医療の一貫で、確立されたエビデンスはなく

 

臨床研究が急速に進められている分野の一つでもあります。

 

日本では、スポーツ選手の一部のでは使用されていますが、

 

一般にはあまりなじみのないことですよね。

 

しかし、欧州ではかなり一般的でありバンバン使用されているみたいです

 

日本で使用するとなると、保険適用外なので一回2,3万はしますし、

 

それを2~3回を1クールとしておこなうのでかなりの額がかかります、、、、

 

 

なぜPRPがでてきたか?

 

PRPの主な目的は、組織修復の促進と抗炎症作用による疼痛の軽減です

 

腱障害、特にアキレス腱障害は一度なってしまうと復帰に時間が掛かる事

 

何度も繰り返してしまうことから、腱障害の分野ではこのPRPが注目されいます

 

骨折後や肉離れ後にも使われていますし、ACL再建術時併用することもあります

 

色々なところで使われ始めているのが現状です

 

日本での現在の適応は

〇難治性の運動器疾患(関節炎・難治性腱炎)

 

〇中~長期離脱が見込まれる急性スポーツ外傷(肉離れ・靭帯損傷)

 

といったところが言われています。

 

 

PRPを使うと?

 

血小板の中には

PDGF

血管新生・細胞増殖

VEGF

血管新生

TGFβ

細胞外基質産生・細胞増殖

FGF

細胞増殖・血管新生

EGF

MSCや内皮細胞増殖・他のGFを刺激

HGF

血管新生・内皮細胞増殖

IGF1

筋芽細胞増殖・骨格筋修復

 

こういったものが多く含まれていいるため

 

組織の修復促進や抗炎症作用があるとされています。

 

メリット

→自己由来の安全で簡便、副作用が少ない

 

デメリット

→金銭的な負担が大きい、

 効果に個人差があり本当に良くなるのかまだ不明な点が多い

 

 

本当に簡単な紹介になってしまってすみません。。。。

 

 

以上、今日はここまで!

Tendinopathy②

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

前回の記事の最後で腱組織は

 

年齢と共に退行化し、そのことにより腱粘弾性が低下し

 

腱自体の強度が弱くなることをお伝えしました。

 

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では、腱組織にどんなことが起こっているのか

 

というところから再開したいと思います。

 

腱組織には大きく分けて、

以下の4つのことが起こっていると言われています。

 

  • 腱幹細胞から腱細胞への自己修復能力の低下

 

  • 腱細胞からのコラーゲン細胞生成の低下

 

  • 腱細胞からの腱修復・再生に重要な酵素の生成の低下

 

  • 老化による血流の低下それに伴う腱組織の低酸素状態

 

 

このような細胞自体の老化と血流量の低下により

 

腱幹細胞内の非腱性組織の成長を促してしまい

 

正常な腱組織が生成されず、逆に腱内の脂肪生成(脂肪浸潤)

 

腱の退行化組織の生成に繋がり、腱組織の強度が低下していきます。

 

 

これまでの事を総じて言うと

 

老化により、腱は組織レベルで機能低下を起こしており

この機能低下は腱障害のリスクファクターである

 

ということです。

 

老化は何もしなくても起こるので、腱障害もしょうがないかというと

 

そんなことはもちろんありません!!

 

では、どんなことをすればいのでしょうか?

 

 

 

それは、適度な負荷をかけていくことです

 

 

適度な負荷ってどれくらいだよって感じですよね。笑笑

 

あるレビューでは、

 

中等度の負荷では、腱組織が増えたが

 

高強度の負荷では、非腱性組織が増えた

 

ということが言われています。

 

強すぎても、弱すぎてもダメなんです

 

中等度です。。。ちょうどいい負荷です。。。笑

 

これらの報告の中では数%の負荷でとか、

 

言われていますが臨床の中でいちいち計算するのは

 

あまり現実的ではないですよね。。。

 

なので僕は、痛みがでない程度で

 

回数を調整したり、負荷(重り)を調整しながらおこなってます

 

それが本当にいいかどうかは、やってないとわからないですが・・・

 

以上、今回はここまでとしましょう!

 

Tendinopathyについて・・・

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

ここ最近(2,3か月ほどTendinopathyにハマっています。笑

 

そこで今回からは少しずつ、

 

皆さんにも共有していこうかと思います。

 

興味のある方は、優しい眼差しで読んで頂けたらと思います。笑

 

Tendinopathyについて、勉強しているのにも関わらず

 

ランニングで、自分がアキレス腱を痛めたことは、

 

ここだけの話です。汗

(やっと治りました・・・)(何事も経験が大事・・・)

(全然治らん)

 

まずは、【Tendinopathy】とは!

 

って、ところからです。

 

Tendinopathy=痛みを伴う腱障害の総称です

 

この中には、炎症や退行化、様々な腱断裂障害も含まれます

 

 

治療は、一時的な緩和ケアが中心となります

理学療法/ブレース固定/ステロイド注射/手術 など)

 

最近では、PRP・幹細胞を使用した再生医療的な治療も行われています

(この辺りに関しては、またの機会にしますね)

 

腱障害を理解する上でまずは、腱細胞自体がどうなっているか

 

というところから簡易的にですが説明していきますね。

 

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→腱組織内の細胞は大きく分けて下記の2つになります。

 

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→腱組織内には非細胞組織と言われる、細胞外マトリックスが存在します

 

これがいわゆる、コラーゲン組織です

 

この辺りの名前とかは、あまり覚えにくいので

 

こんなものがあるよーとかで知ってたらいいと思います。笑

 

ちなみにですが、

 

運動器を構成する組織で多く存在するのが

 

Type1,2,3,4ぐらいで、特に

 

Type1:腱や靭帯、骨など硬度を求められる組織

 

に多く存在します。

 

プロテオグリカンは、コラーゲン線維が変化(変形)

 

する時には、緩衝材としての役割があるため

 

非常に大事です。

 

コーラーゲンもプロテオグリカンもお互いに大事ですね。

 

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しかし、年齢を重ねるにつれて

 

腱組織自体も年を取ります。

 

これが、腱組織の退行化です。

 

退行化すると・・・

 

組織の粘弾性が低下します

 

そのことにより、腱組織の強度も低下してしまい

 

Tendinopathy(腱障害)が起こるとも言われています。

 

今日はここまで!!

 

次回からはもっと深掘りしていきますね!

キシロカインテストについて

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は、「キシロカインテスト」についてです

 

と、その前にドロップアームサインは覚えていますでしょうか?

 

これは学生時代にも習った、一般的に用いられている徒手検査ですね

 

90°外転位で保持できずに、腕が落ちてしまうと

 

「陽性」となります。

 

ドロップアームテストのコツは、手掌を下に向けて行うことです

 

 

手掌を上に向けると、肩は外旋位となり、外旋位となると棘上筋が断裂していても

 

上腕二頭筋長頭腱で代償できてしまうからです。

 

肢位に関しては、気を付けておくべき点ですね。

 

さて、「キシロカインテスト」ですが、

 

これは、キシロカイン(局所麻酔)にてブロックすることにより

 

腱板断裂なのか、炎症に伴う疼痛なのかを区別します。

 

さすがに、注射はできませんが、こういったことも知っておくことが

 

非常に重要ですので、今回ご紹介させて頂きます!

 

 

腱板断裂がなくとも、上肢の保持ができない場合があります

 

それは、腱板自体や肩峰下滑液包に強い炎症が存在する時です。

 

肩峰下滑液包の周りには、自由神経終末が数多く存在します

 

そのため、肩峰下滑液包炎が起こると

 

腱板の収縮が、肩峰下滑液包を刺激し、上肢保持の際に強い痛みを伴います。

 

この時に、腱板断裂がないのにも関わらず

 

痛みにより上肢保持ができず、「偽陽性」のドロップアームサインがみられます。

 

こういった場合に、キシロカインを打つことで痛みを除去します。

 

痛みがない、かつ上肢の保持が可能であれば、炎症が原因

 

痛みはないが、変わらず上肢の保持ができないのであれば

 

腱板断裂が起こっていると、考えます。

 

これが、キシロカインによる判別です

 

今回はここまで!!

腱板断裂の発生頻度

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は、年代別による腱板断裂の発生頻度について紹介していきます。

 

【腱板断裂の基礎】の記事を読んで頂いた方は何となく

 

予測がつくかもしれませんね。

 

結果から言うと、、、、

 

腱板断裂は年齢が上がるにつれて

 

発生頻度もどんどん上がっていきます。

 

下記は、ある研究報告で664名を対象にした結果です。

 

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80代が、ダントツで多いのがわかりますよね。汗

 

80代は36.6%であり、これは3人に1が切れていることになります。

 

また、こちらは症候性と無症候性腱板断裂の頻度ですが、

 

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無症候性の腱板断裂も年齢が上がるにつれて多いことが分かります。

 

80代での、無症候性腱板断裂は2/3にもなるそうです。

 

ということは、必ずしも「断裂=痛みの原因」ではないことが言え、

 

断裂があるから必ず手術が必要ではなく、断裂があっても保存療法で

 

痛みが消失する可能性があるということが言えますね。

 

 

たまにいますよね、「腱板が切れているから、痛いんでしょ?」

 

って言ってくる患者さん

 

確かに、切れて痛い人もいます、痛くない人もいることも事実です

 

そんなときに、しっかりと説明できて納得してもらえるような

 

セラピストになっておきたいものです。

 

最後ちょっと変な感じになってきたので、笑

 

今回はここまでとします。

 

年齢が上がるにつれて、腱板断裂の発生頻度も増加すること

 

年齢が上がるにつれて、無症候性の腱板断裂が増加すること

 

を、お伝えしました!!

 

以上です!

腱板断裂の基礎②

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

前回の記事では、腱板断裂のタイプやサイズ、数による

 

分類をご紹介しました!

 

しかし、腱板断裂の基礎知識として必ず知っておいてほしい

 

分類がもう1つあります!あ、、、2つ

 

分類ばっかりして、どうするんだよ??

 

って、思いますよね笑

 

けど、今回のは腱板断裂予後予測をするのにあたって非常に大切です!!

 

それが、Goutallier(グタリエ)分類です

 

これは、MRIT2斜位矢状断像にて棘上筋の脂肪変性度合を分類しています。

 

棘上筋の筋実質部に対しての脂肪変性の割合です

 

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Goutallier gradeと書いてあることも・・・

 

Goutallier分類

 

Grade 0

脂肪なし

Grade 1

脂肪の線あり

Grade 2

脂肪の割合50%未満

Grade 3

脂肪の割合50

Grade 4

脂肪の割合50%より高い

 

腱板断裂において、棘上筋・棘下筋の筋委縮と脂肪変性は非常に重要な指標になります

 

研究報告では、腱板断裂術後患者の棘上筋・棘下筋の筋委縮は回復するが、

 

脂肪変性は回復しないとか・・・

 

重度の筋委縮・脂肪変性があると術後成績が悪いとか・・・

 

あまりいいことは言われていないですね

 

ちなみに、このGoutallier分類のGrade2からが手術が推奨されています

 

先ほど、いきなり出てきた棘上筋・棘下筋の筋委縮についてですが・・・

 

筋委縮もしっかりと診ておく必要があります。

 

筋委縮については、視診や触診にても評価できますが、

 

ここでは、MRIにて評価する方法をお伝えします。

 

正確に評価するためには、筋の断面積を測定する方法もありますが、

 

実際の所は時間が掛かり、臨床では中々使えないです・・・

 

そこで、簡易的に評価できるのがtangent signという評価法です

 

これは、棘上筋であれば烏口突起側と肩峰側の肩甲骨を結んだ線より棘上筋の筋実質部が

 

下になる場合に、また棘下筋であれば肩峰側と下角の肩甲骨を結んだ線より棘下筋の

 

筋実質部が内側になる場合に筋委縮が陽性とされます。

 

こちらが、一例です↓↓↓

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【棘上筋】

aでは、筋腹部分が上に多くあるが、bでは、筋腹部分が線の下にきており

萎縮ありとなります。

 

【棘上筋】

aでは筋腹部分が線より右側に多くあるが、bでは、筋腹部分が線の左側に多く

萎縮がありとなります。

 

今回ご紹介した、分類は1つ目がGoutallier分類、2つ目がtangent signです!

 

以上、今回はここまでとしましょう!