膝蓋下脂肪体について
運営スタッフ 金澤整形外科の平峯です!
今回は、しゃがみ込みや階段昇降などで膝の痛みに関与することが多い
膝蓋下脂肪体 (infrapatellar fat pad : IFP)についてご紹介したいと思います
身体における、脂肪体の主な機能としては、衝撃吸収や周囲組織との円滑な動きを調整
することです
その中でも膝蓋下脂肪体は、関節包の内側で滑膜の外側にあり
膝蓋骨の裏面、側面と膝蓋靭帯深層の関節腔内を埋めるように広く存在します。
後方は横靭帯、上方は膝蓋骨、下方は前十字靭帯とつながります
膝屈曲・伸展運動に伴う膝蓋下脂肪体の動態はエコーで観察すると以下のようになります!!
赤→膝蓋骨外側面
青→膝蓋骨内側面
緑→膝蓋靭帯深層
膝蓋骨外側面において、屈曲→伸展に伴って外側膝蓋支帯の深部に広がるように移動する
膝蓋下脂肪体が観察できます
同様に膝蓋骨内側面でも、屈曲→伸展に伴って内側膝蓋支帯の深部に広がるように移動する
膝蓋下脂肪体が観察できます
膝蓋靭帯の深層では、屈曲→伸展に伴って脛骨と膝蓋靭帯間に存在する、深膝蓋下滑液包側へと移動する様子が観察できます
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〈屈曲〉
関節腔内に入り込んでいくように後方に移動する
PF関節やFT関節における圧迫ストレスを緩衝し、半月板の後方移動にも関与する
〈伸展〉
関節腔内から引っ張りだされるように前方に移動し、深膝蓋下滑液包へと侵入します
伸展運動に伴う、膝蓋靭帯の前方移動や収縮に伴う張力を伝達し、半月板の運動に関与する
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膝蓋下脂肪体は、関節運動に伴って変形しながら関節腔内を移動したり、
組織間を滑走したりすることで
関節に掛かる圧迫ストレスを緩衝し、潤滑な運動を可能にしています
また、最初に書いたように膝蓋下脂肪体は関節内に存在するため
膝OAなどでは、関節内の炎症が膝蓋下脂肪体へ波及することで線維化を起こします
そのため屈伸運動時の動きに伴う、脂肪体の変形ができなくなる(柔軟性が低下する)ことで
侵害受容器を多く含む脂肪体の圧が高まり、しゃがみ込み時や階段昇降時に
脂肪体由来の痛みが生じます
まとめ
- 屈曲伸展運動に伴い、内外側の膝蓋支帯深層や深膝蓋下滑液包側へと移動する
- 変形することで、潤滑な関節運動を促しPF関節やFT関節へのストレスを軽減する
以上のことから
膝関節痛を診る上でも、膝蓋下脂肪体の機能は大切になってくるのではないでしょうか??
今回はここまでにしましょう!!
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