Tendinopathy②

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

前回の記事の最後で腱組織は

 

年齢と共に退行化し、そのことにより腱粘弾性が低下し

 

腱自体の強度が弱くなることをお伝えしました。

 

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では、腱組織にどんなことが起こっているのか

 

というところから再開したいと思います。

 

腱組織には大きく分けて、

以下の4つのことが起こっていると言われています。

 

  • 腱幹細胞から腱細胞への自己修復能力の低下

 

  • 腱細胞からのコラーゲン細胞生成の低下

 

  • 腱細胞からの腱修復・再生に重要な酵素の生成の低下

 

  • 老化による血流の低下それに伴う腱組織の低酸素状態

 

 

このような細胞自体の老化と血流量の低下により

 

腱幹細胞内の非腱性組織の成長を促してしまい

 

正常な腱組織が生成されず、逆に腱内の脂肪生成(脂肪浸潤)

 

腱の退行化組織の生成に繋がり、腱組織の強度が低下していきます。

 

 

これまでの事を総じて言うと

 

老化により、腱は組織レベルで機能低下を起こしており

この機能低下は腱障害のリスクファクターである

 

ということです。

 

老化は何もしなくても起こるので、腱障害もしょうがないかというと

 

そんなことはもちろんありません!!

 

では、どんなことをすればいのでしょうか?

 

 

 

それは、適度な負荷をかけていくことです

 

 

適度な負荷ってどれくらいだよって感じですよね。笑笑

 

あるレビューでは、

 

中等度の負荷では、腱組織が増えたが

 

高強度の負荷では、非腱性組織が増えた

 

ということが言われています。

 

強すぎても、弱すぎてもダメなんです

 

中等度です。。。ちょうどいい負荷です。。。笑

 

これらの報告の中では数%の負荷でとか、

 

言われていますが臨床の中でいちいち計算するのは

 

あまり現実的ではないですよね。。。

 

なので僕は、痛みがでない程度で

 

回数を調整したり、負荷(重り)を調整しながらおこなってます

 

それが本当にいいかどうかは、やってないとわからないですが・・・

 

以上、今回はここまでとしましょう!

 

Tendinopathyについて・・・

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

ここ最近(2,3か月ほどTendinopathyにハマっています。笑

 

そこで今回からは少しずつ、

 

皆さんにも共有していこうかと思います。

 

興味のある方は、優しい眼差しで読んで頂けたらと思います。笑

 

Tendinopathyについて、勉強しているのにも関わらず

 

ランニングで、自分がアキレス腱を痛めたことは、

 

ここだけの話です。汗

(やっと治りました・・・)(何事も経験が大事・・・)

(全然治らん)

 

まずは、【Tendinopathy】とは!

 

って、ところからです。

 

Tendinopathy=痛みを伴う腱障害の総称です

 

この中には、炎症や退行化、様々な腱断裂障害も含まれます

 

 

治療は、一時的な緩和ケアが中心となります

理学療法/ブレース固定/ステロイド注射/手術 など)

 

最近では、PRP・幹細胞を使用した再生医療的な治療も行われています

(この辺りに関しては、またの機会にしますね)

 

腱障害を理解する上でまずは、腱細胞自体がどうなっているか

 

というところから簡易的にですが説明していきますね。

 

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→腱組織内の細胞は大きく分けて下記の2つになります。

 

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→腱組織内には非細胞組織と言われる、細胞外マトリックスが存在します

 

これがいわゆる、コラーゲン組織です

 

この辺りの名前とかは、あまり覚えにくいので

 

こんなものがあるよーとかで知ってたらいいと思います。笑

 

ちなみにですが、

 

運動器を構成する組織で多く存在するのが

 

Type1,2,3,4ぐらいで、特に

 

Type1:腱や靭帯、骨など硬度を求められる組織

 

に多く存在します。

 

プロテオグリカンは、コラーゲン線維が変化(変形)

 

する時には、緩衝材としての役割があるため

 

非常に大事です。

 

コーラーゲンもプロテオグリカンもお互いに大事ですね。

 

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しかし、年齢を重ねるにつれて

 

腱組織自体も年を取ります。

 

これが、腱組織の退行化です。

 

退行化すると・・・

 

組織の粘弾性が低下します

 

そのことにより、腱組織の強度も低下してしまい

 

Tendinopathy(腱障害)が起こるとも言われています。

 

今日はここまで!!

 

次回からはもっと深掘りしていきますね!

キシロカインテストについて

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は、「キシロカインテスト」についてです

 

と、その前にドロップアームサインは覚えていますでしょうか?

 

これは学生時代にも習った、一般的に用いられている徒手検査ですね

 

90°外転位で保持できずに、腕が落ちてしまうと

 

「陽性」となります。

 

ドロップアームテストのコツは、手掌を下に向けて行うことです

 

 

手掌を上に向けると、肩は外旋位となり、外旋位となると棘上筋が断裂していても

 

上腕二頭筋長頭腱で代償できてしまうからです。

 

肢位に関しては、気を付けておくべき点ですね。

 

さて、「キシロカインテスト」ですが、

 

これは、キシロカイン(局所麻酔)にてブロックすることにより

 

腱板断裂なのか、炎症に伴う疼痛なのかを区別します。

 

さすがに、注射はできませんが、こういったことも知っておくことが

 

非常に重要ですので、今回ご紹介させて頂きます!

 

 

腱板断裂がなくとも、上肢の保持ができない場合があります

 

それは、腱板自体や肩峰下滑液包に強い炎症が存在する時です。

 

肩峰下滑液包の周りには、自由神経終末が数多く存在します

 

そのため、肩峰下滑液包炎が起こると

 

腱板の収縮が、肩峰下滑液包を刺激し、上肢保持の際に強い痛みを伴います。

 

この時に、腱板断裂がないのにも関わらず

 

痛みにより上肢保持ができず、「偽陽性」のドロップアームサインがみられます。

 

こういった場合に、キシロカインを打つことで痛みを除去します。

 

痛みがない、かつ上肢の保持が可能であれば、炎症が原因

 

痛みはないが、変わらず上肢の保持ができないのであれば

 

腱板断裂が起こっていると、考えます。

 

これが、キシロカインによる判別です

 

今回はここまで!!

腱板断裂の発生頻度

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は、年代別による腱板断裂の発生頻度について紹介していきます。

 

【腱板断裂の基礎】の記事を読んで頂いた方は何となく

 

予測がつくかもしれませんね。

 

結果から言うと、、、、

 

腱板断裂は年齢が上がるにつれて

 

発生頻度もどんどん上がっていきます。

 

下記は、ある研究報告で664名を対象にした結果です。

 

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80代が、ダントツで多いのがわかりますよね。汗

 

80代は36.6%であり、これは3人に1が切れていることになります。

 

また、こちらは症候性と無症候性腱板断裂の頻度ですが、

 

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無症候性の腱板断裂も年齢が上がるにつれて多いことが分かります。

 

80代での、無症候性腱板断裂は2/3にもなるそうです。

 

ということは、必ずしも「断裂=痛みの原因」ではないことが言え、

 

断裂があるから必ず手術が必要ではなく、断裂があっても保存療法で

 

痛みが消失する可能性があるということが言えますね。

 

 

たまにいますよね、「腱板が切れているから、痛いんでしょ?」

 

って言ってくる患者さん

 

確かに、切れて痛い人もいます、痛くない人もいることも事実です

 

そんなときに、しっかりと説明できて納得してもらえるような

 

セラピストになっておきたいものです。

 

最後ちょっと変な感じになってきたので、笑

 

今回はここまでとします。

 

年齢が上がるにつれて、腱板断裂の発生頻度も増加すること

 

年齢が上がるにつれて、無症候性の腱板断裂が増加すること

 

を、お伝えしました!!

 

以上です!

腱板断裂の基礎②

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

前回の記事では、腱板断裂のタイプやサイズ、数による

 

分類をご紹介しました!

 

しかし、腱板断裂の基礎知識として必ず知っておいてほしい

 

分類がもう1つあります!あ、、、2つ

 

分類ばっかりして、どうするんだよ??

 

って、思いますよね笑

 

けど、今回のは腱板断裂予後予測をするのにあたって非常に大切です!!

 

それが、Goutallier(グタリエ)分類です

 

これは、MRIT2斜位矢状断像にて棘上筋の脂肪変性度合を分類しています。

 

棘上筋の筋実質部に対しての脂肪変性の割合です

 

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Goutallier gradeと書いてあることも・・・

 

Goutallier分類

 

Grade 0

脂肪なし

Grade 1

脂肪の線あり

Grade 2

脂肪の割合50%未満

Grade 3

脂肪の割合50

Grade 4

脂肪の割合50%より高い

 

腱板断裂において、棘上筋・棘下筋の筋委縮と脂肪変性は非常に重要な指標になります

 

研究報告では、腱板断裂術後患者の棘上筋・棘下筋の筋委縮は回復するが、

 

脂肪変性は回復しないとか・・・

 

重度の筋委縮・脂肪変性があると術後成績が悪いとか・・・

 

あまりいいことは言われていないですね

 

ちなみに、このGoutallier分類のGrade2からが手術が推奨されています

 

先ほど、いきなり出てきた棘上筋・棘下筋の筋委縮についてですが・・・

 

筋委縮もしっかりと診ておく必要があります。

 

筋委縮については、視診や触診にても評価できますが、

 

ここでは、MRIにて評価する方法をお伝えします。

 

正確に評価するためには、筋の断面積を測定する方法もありますが、

 

実際の所は時間が掛かり、臨床では中々使えないです・・・

 

そこで、簡易的に評価できるのがtangent signという評価法です

 

これは、棘上筋であれば烏口突起側と肩峰側の肩甲骨を結んだ線より棘上筋の筋実質部が

 

下になる場合に、また棘下筋であれば肩峰側と下角の肩甲骨を結んだ線より棘下筋の

 

筋実質部が内側になる場合に筋委縮が陽性とされます。

 

こちらが、一例です↓↓↓

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【棘上筋】

aでは、筋腹部分が上に多くあるが、bでは、筋腹部分が線の下にきており

萎縮ありとなります。

 

【棘上筋】

aでは筋腹部分が線より右側に多くあるが、bでは、筋腹部分が線の左側に多く

萎縮がありとなります。

 

今回ご紹介した、分類は1つ目がGoutallier分類、2つ目がtangent signです!

 

以上、今回はここまでとしましょう!

 

腱板断裂の基礎知識

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は【腱板断裂】についてです!!

 

腱板断裂について、知っておきたい基礎知識を中心に

 

お伝えしていこうと思います。

 

 

〇断裂の種類

外傷性断裂:転倒や、交通事故など外傷が起因となる

 

変性断裂:加齢などの退行性変化に起因するもの

 

腱板断裂はこの2種類に分けることができます。

 

また、断裂の約8割が変性断裂であることもわかっています。

 

変性断裂の原因も以下のように、内因性と外因性に分けられます。

 

〇変性断裂の原因

内因性:血流低下、弾性低下、喫煙など

 

外因性:肩峰下インピンジメント、大きなcritical shoulder angle、オーバーユースなど

 

ちなみに、critical shoulder angle(CSA)とは・・・・

 

 

X-pでの所見で、関節窩の上辺と下辺を結んだ線と、肩峰外側縁のなす角度のことです。

 

近年の報告では、CSAが35°を越えると肩峰下と腱板との接触応力が大きくなることが

 

明らかになっており、35°以上のCSAは変性断裂の発症リスクと高い相関を認める

 

報告もあります。

 

〇断裂タイプ

 

完全断裂:全層(5層)すべてが断裂している

 

部分(不全)断裂:5層の内、部分的に断裂がみられる

 

の2種類があります。また、部分断裂は・・・

 

①滑液包面断裂

 

➁関節面断裂

 

➂腱内水平断裂

 

の3つに分かれます。

 

〇断裂サイズ

1cm以下:小断裂

1~2cm:中断裂

2~4cm:大断裂

4cm:広範囲断裂

 

というように、断裂部のサイズによる区分けもされます

 

他にも、一般的なのがPatte分類といって、棘上筋断裂の内側への引き込み具合を

 

指標にした分類も存在します。

 

 

 

ステージ1:棘上筋断裂端が大結節付近に溜まった状態

 

ステージ2:断端が上腕骨の頂点まで引き込まれている状態

 

ステージ3:断端が関節窩レベルまで引き込まれている状態

 

以下に示しているのが、腱板断裂の種類と数で分類した

 

Collinらの分類です

 

タイプA:棘上筋+上部肩甲下筋

タイプB:棘上筋+全肩甲下筋

タイプC:棘上筋+上部肩甲下筋+棘下筋

タイプD:棘上筋+棘下筋

タイプE:棘上筋+棘下筋+小円筋

 

この辺りの分類の知識を押さえておけばとりあえずは立ち向かえるかと思います笑

 

今後は、機能的や解剖学的なところもお伝えしていきたいと思います

 

以上、今日はここまでです!

烏口上腕靭帯(CHL)と周囲組織について

Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!

 

今回は、烏口上腕靭帯(CHL)と周辺組織についてです!

 

その前に、拘縮肩に対するマニュピレーション後の鏡視下所見に

 

関する報告をご紹介します。

 

男女15例の拘縮肩にマニュピレーション施工後に、

 

断裂・出血部位診たところ

 

①腱板疎部(rotator interval)の断裂・出血:14/15

→前上方組織の関与

 

骨頭下面の剥離・出血:13/15

→下関節上腕靭帯(IGHL)の関与

 

➂肩峰下滑液包の剥離・出血:なし

→滑液包の中は拘縮に関与しない

 

全周性に硬さのある拘縮肩の可動域制限に関与するのは

 

前上方組織である腱板疎部下関節上腕靭帯だったということが

 

この報告からわかります。

 

では、この前上方組織である腱板疎部には何が存在するかというと

 

烏口上腕靭帯(CHL)ですね

 

CHLは、烏口突起の底部から上腕骨大結節及び小結節に向けて

 

扇状に走行し、腱板疎部を補強しています

 

図で見てもらうと少しイメージしやすいかと思いますが、

CHL 
, \ SSP

 

このように、棘上筋腱(SSP)肩甲下筋腱(SSC)の間に存在します

dSl 
dSS

 

また、水平面から見た模式図での位置関係は

 

棘上筋腱・肩甲下筋腱・上腕二頭筋長頭腱・肩甲下筋腱を

 

包み込んでいるようになっています。

 

CHLとの関係で重要になってくるのが、先ほどもでてきた

 

棘上筋腱と肩甲下筋腱のところです。

SSP 
CHL

 

1stの肢位で、外旋する場合は肩甲下筋腱が外側へ引き出され

SSP 
CHL 
SSC

 

結滞動作では、伸展・内転・内旋の複合運動ですので

 

特に内転時、棘上筋腱が外側へと引き出される必要があります。

 

ここで、CHL~棘上筋腱、CHL~肩甲下筋腱の癒着が

 

あると各筋腱が引き出されるときに、CHLが干渉してしまい

 

1st外旋結滞動作の可動域制限へとつながってしまいます。

 

ここでは、CHLと棘上筋腱、CHLと肩甲下筋腱が干渉せずに

 

バラバラに動くことが必要となってきます。

 

 

今回は、ここまでとしましょう!!

 

この辺りは次回も含め、もう少し深掘りしていきたいと思います!