股関節屈曲可動域制限
Thera-hubスタッフ 金澤整形外科の平峯です!
股関節の可動域制限は、寛骨臼や大腿骨頭の変形
または、機能的要因によって関節唇と大腿骨頭の衝突や関節唇や関節包の
挟み込みが生じると、可動域制限が起きます。
これは、femoroacetabular impingement(FAI)と呼ばれ
FAIが生じる前方の関節包や関節唇に付着する筋として大腿直筋と小殿筋があります
そこで、今回はこの大腿直筋の解剖学について紹介したいと思います
【大腿直筋】
下前腸骨棘からだけではなく、臼蓋前上縁や周囲の関節包、関節唇からも起始し
脛骨粗面へと付着します
起始部は、下前腸骨棘から起始する直頭(direct head)と関節唇や周囲の結合組織から
起始する反回頭(reflected head)に分けられます。この反回頭は臼蓋の上縁にも
まとわり付くように付着し、広い付着部を持っています
直頭付着部:縦約13mm/幅約26mm
反回頭付着部:縦約48mm/幅約17mm
そのため、屈曲可動域の確保や屈曲時のインピンジメントを予防するためには
反回頭が関節唇や周囲の結合組織(関節包)を浮き上がらせる(外方へ引き出す)
ことが重要になります。
大腿直筋の起始部周囲には、縫工筋・大腿筋膜腸筋・外側広筋さらには
腸骨関節包筋(iliocapsularis muscle)や小殿筋が存在し、これらの筋との間には
疎性結合組織が存在します。そのため大腿直筋が関節唇や関節包を
引き出すためには、この周囲の疎性結合組織が癒着することなく
大腿直筋と周囲筋との間に十分な柔軟性や滑走性が必要とされます。
前回の勉強会でも少し言われていましたが、大腿直筋には3つ目の頭
Third headの存在も知られています。
このthird headは小殿筋腱と直接連結しています。機能的な働きについては
はっきりとわかってはいないようですが、股関節可動域制限における
大腿直筋と小殿筋の関係性は、解剖学的にもかなりありそうですね
以上、今回はここまでにしましょう!